倒産してしまった場合、雇用調整助成金ってどうなるの?

イボイノシシの親子

雇用調整助成金に関するお問い合わせが多いため、助成金関連のコラムを連投しています。東京都千代田区のBSP社会保険労務士法人、代表岸本です。今回は、最近お問い合わせでよく耳にする、倒産した場合の雇用調整助成金の扱いを確認しましょう。

退職者・解雇者が出た場合

助成金を受給しようとする場合、重要なのはその助成金の設立趣旨をとらえることです。
何のためにこの助成金制度が設立されたのかを考えることによって、やっていいこと、いけないことがある程度明確になります。
例えば、キャリアアップ助成金では、非正規社員が労働人口の4割に迫る状況で、いかに正社員転換を進めていくか、というのが国の課題です。
そのための助成金であれば、ただ、契約社員の契約期間の定めをなくすだけでなく、労働条件を向上しなければならないということはすぐに理解できるでしょう。
雇用調整助成金に関しては、重要なのは雇用維持の1点です。経営悪化した企業で、いかに整理解雇をなくすか、そのための助成金です。
企業は、経営環境の変化によって売り上げが激減したとしても、日本型雇用システムのもとでは、余剰人員をすぐに解雇するわけにはいきません。
仕事がなければ、従業員を休業させることになりますが、その場合でも、労働基準法が、給与(平均賃金)の6割以上の休業手当の支給を義務付けています。
この休業手当の一部助成が雇用調整助成金の設立趣旨です。
ということは、すでに退職願・退職届を提出した従業員、解雇通知を出した従業員に関しては、それ以降は雇用維持の対象ではないため、雇用調整助成金の対象にも当てはまりません。
実務上、多くの企業が退職日までの休業日に関して雇用調整助成金の受給を求めてきますが、助成金の対象となるのは退職申し出日までの休業日であること重々ご注意ください。

倒産した場合

以上、お読みいただきましたら、倒産した場合、雇用の維持が不可能であるため、雇用調整助成金は一切受給できなることはご理解いただけるかと存じます。
ただし、倒産確定前の休業に関しては、受給可能です。
弊社でも助成金受給中に事業譲渡した企業など経験していますが、法人口座がなくなった時点で、受給できるものもできなくなりますのでご注意ください。

まとめ

このようなお問い合わせが多いためコラムを書きましたが、弊社が望んでいるのは当然事業再生です。
BSP社会保険労務士法人は、東京都千代田区にある同じビルに、各士業と連携しながら、中小企業を中心にサポートをおこなっています。
社会保険労務士のみでは対応が難しい案件でも、横のつながりで最適な案をご提示いたします。
お困りごとございましたらお気兼ねなくご相談くださいませ。