社会保険労務士が代行申請できる雇用調整助成金とは

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千代田区の社会保険労務士という立場から雇用調整助成金に関して、幾度かコラムを書いてきました。ここで一度しっかりまとめたいと思います。コロナ特例は12月まで続きます。コロナ禍により打撃をうけた経済の回復にも、まだまだ時間がかかりそうです。できるだけわかりやすく雇用調整助成金のことをご説明いたしますので、ぜひ雇用維持のため、こちらの記事をご覧のあなた様にもご活用いただければと存じます。

雇用調整助成金の歴史と意義

助成金制度は、この雇用調整助成金から始まります。戦後、高度経済成長ののち、日本経済はオイルショックにより初めて経済危機に陥りました。
その際に、雇用の維持を目的として、制度設計されたのが雇用調整助成金です。その後、いろいろな助成金制度が打ち立てられましたが、その先駆けは雇用調整助成金でした。
終身雇用に代表される日本型雇用システムでは、雇用の維持が重要課題となります。
経営難において、整理解雇を行わず、休業や教育訓練を行うことで雇用維持をすれば、その時間分の休業手当(賃金)の一部を国が補助するというものです。
その後、リーマンショックや東日本大震災など、数々の経済危機において活躍してきました。

雇用調整助成金の趣旨・内容

雇用調整助成金は、売上が一定程度下がっている企業が、仕事がないため従業員を一時的に休業させる場合に支払う休業手当を補填する制度です。
そもそも、会社の都合で従業員を休ませる場合は、休業手当を支払わなければならない旨、労働基準法で定められています。
「平均賃金」の6割以上支払わなければならないとされていますが、ここでは簡単に給与6割と考えてください。従業員の生活を保障するための制度です。
ただ、企業としても、売上が減れば、休業手当の支払いも困難となります。企業によっては、整理解雇したほうが人件費負担が少なくて済むと考えるでしょう。
その際、安易に解雇を行うのではなく、雇用調整助成金をうまく活用してほしいのです。雇用調整助成金を活用すれば、その休業手当の一部が助成され、雇用の維持をはかる選択肢が見えてきます。。

具体的な要件・申請方法

雇用調整助成金の要件は、
① 直近3か月の売上平均が前年の同3か月と比べ、10%以上低下していること
② 休業協定書(企業と労働者代表との間での書面での協定)に基づき、計画的に休業を実施し、休業手当を支払うこと。
端的に言えばこの2点です。
それが、コロナ特例として、いまは、休業開始月と直近の任意月との間で5%低下していれば受給可能と要件緩和がされております。

また、休業手当を補填する割合も、中小企業であれば10/10(会社都合離職無しの場合、上限15,000円)となっています。
このつらい時期に、安易に従業員を解雇してしまうのではなく、助成金を賢く利用し、お互いに痛みを分かち合って乗り越えることで、今後、景気が回復したときにはきっと活躍してくれることでしょう。

まとめ

現在は、かなり支給要件が緩和されており、また添付書類が省略され、申請様式も簡略化されています。
厚生労働省のパンフレットを読み込めば、自社申請も不可能ではございません。
事務作業は苦手という方は、社会保険労務士に是非ご依頼ください。
筆者である私、岸本も所属しております千代田区にございますBSP社会保険労務士法人にもかなりの案件をサポートしております。
この難局をともに乗り切っていきましょう。