社会保険労務士と弁護士、解雇相談はどっちがおすすめ?

アザラシ

このコラムを書きつつも、日々解雇の相談が入ってきます。すでに弁護士にも依頼している、とおっしゃる方もいます。社会保険労務士と弁護士、解雇相談はどちらがお勧めなのか、東京都千代田区のBSP社会保険労務士法人が解説いたします。

守りの社労士

社会保険労務士は、解雇トラブルが起きないようにコンサルティングを行います。
何度か労働契約法の話をしましたが、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(第16条)」と規定されています。
いかに嫌な奴であろうと、「合理的な理由」と「社会通念上相当」性が無ければ、解雇をしても無効と判断されてしまいます。

ですので、そのような事態に陥らないように、解雇を考える前に、その従業員の才能をいかに開花させ、会社に貢献できるようにするかを重点に考えます。
日々の教育によって、従業員の能力は開発されます。また、指導教育によって、従業員の態度も改善できます。健康状態に難がある場合は、軽作業に配置転換してあげましょう。

経営者と従業員、いつも顔を合わせていたら感情的な対立が生じます。
社会保険労務士は一歩下がったところにいるからこそ、冷静なアドバイスが可能です。
解雇の前には、退職勧奨による合意退職を目指すのが定石です。
どうしても戦力にならない従業員は、お別れするのがお互いにとってベターな選択です。
その際も、ある程度従業員の生活を考慮し、失業保険による保障も活用し、落としどころを見つけてまいります。

攻めの弁護士

社会保険労務士が手を尽くしたのにも関わらず、お互い引くに引けない状況になったときには弁護士の出番となります。
まずは労働局のあっせんや、裁判所の調停など話し合いの場があります。
話し合いで埒が明かない場合は、労働審判などの訴訟へと進みます。

この段階では、社労士が関与すると、弁護士法第72条違反(非弁行為)となります。
以前は、訴訟というと敷居が高かったのですが、労働審判制度は、2-3回の期日で結審します。今後は従業員側の利用も増えてくるでしょう。
経営者側は、「経営法曹会議」、従業員側は「日本労働弁護団」所属の弁護士にご相談ください。力強い用心棒になってくれるでしょう。
特に、労働者の地位であることを確認する訴訟(解雇事件)は、その勝敗によって多額の賠償金(いわゆるバックペイ)が発生するリスクがあります。

まとめ

以上のように、社会保険労務士と弁護士は解雇トラブルを分担して受け持っています。
解雇トラブルに至らないようにするのが社労士、もし起きてしまった場合に徹底的に争うのが弁護士です。
ただし、いまの高度情報社会においては、たとえ勝ったとしても、風評被害を含め、ネット上に悪い企業イメージが拡散いたします。消し去ることも不可能です。
やはりトラブルにまで発展させないことが重要だと思います。

東京都千代田区のBSP社会保険労務士法人には、頻繁に解雇相談が寄せられますが、訴訟にまで発展したことは今のところありません。
なるべく敵をつくらないのが経営の要諦です。
もし、トラブル発生の予感がありましたら、予感のうちにご相談いただくことをお勧めいたします。