社労士と他の士業。社会保険労務士に依頼するメリットは

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私のような社会保険労務士を筆頭にいろいろな士業がございますが、何をどの士業に依頼すればいいのか、なかなか難しいですよね。士業に依頼する業務というのは、原則的には本人の権利・義務に係る重要な案件かと存じます。やはり、その仕事を得意とする方に依頼するのが正解といえるでしょう。2つの例を記載いたしますので迷ってしまった場合の 参考としていただければ幸いにございます。

助成金と補助金

お客様からたびたび、助成金と補助金の違いを聞かれます。一度詳しくご説明したいと思います。
(雇用関係)助成金は、国の雇用政策に従った事業主に雇用保険料を原資として支給されるものです。厚生労働省が所管しています。
2020年現在では、非正規率4割という不名誉な状況を打開するために、非正規社員を正社員にすれば57万円支給する、という趣旨のキャリアアップ助成金が最も利用されております。
また、コロナ禍において、休業させることによって従業員の雇用を維持する事業主に対しては、休業手当の補填として雇用調整助成金が支給されます。

対して、補助金は、国の経済政策のもと支給されるもので、経産省(中小企業庁)管轄となります。
イノベーションを起こすような画期的な商品開発に対してはものづくり補助金、情報通信化を推し進めるために支給されるIT補助金などです。
助成金と補助金で大きく異なるのは提出書類です。前者では賃金台帳、出勤簿、雇用契約書など、後者は決算書や事業計画書となります。
必然の帰結として、(雇用関係)助成金は社会保険労務士が担当し、補助金は税理士や行政書士が担当することとなります。

給与計算

給与計算に関してみていきましょう。給与計算は、税理士と社会保険労務士に依頼することが考えられます。もちろん、法律上の独占業務には当たりませんのでどちらに依頼しても問題ございません。
ただし、やはり得手不得手が鮮明に反映されます。
月次の給与計算は、まず勤怠の集計から始まります。勤怠の集計には、労働時間の法概念の理解が必要となります。
残業に対する割増賃金、休日と休暇の違い、有給休暇の取扱いなどは労働基準法の知識が必須です。
また、社会保険の知識もしかりです。税理士で、社会保険の月額変更のチェックをしてくれる方はまれといっていいでしょう。
逆に、年末調整は税理士のほうが知悉しています。
税法上の扶養の考え方や、各種の所得控除などは税理士の得意分野です。
ただし、年末調整こそ最も間違えられない業務であるため、社会保険労務士も、源泉徴収や年末調整に限っては税法に関わらずしっかり勉強しています。
何人もの税理士、社会保険労務士の行う給与計算を見てきましたが、給与計算は社会保険労務士を選択するのが正解だと私は思います。

まとめ

どの手続きをどの専門家に依頼するのか、しっかり確認しましょう。
もし間違えたとしても、この案件は、どこの案件ですよと教えてもらえると思います。
ただし、上記の給与計算などのように、どちらの資格でも可能な場合は、あなた様の選択となってまいります。
他の士業様の考え方は専門家ではないので割愛いたしますが社会保険労務士に依頼するかしないかの簡単な考え方といたしましては
「雇用に関する事であれば社会保険労務士に依頼するとメリットが大きい」と覚えておくだけで良いかと思います。
BSP社会保険労務士法人は各士業のグループとして活動していますので、そのようなご相談でもお気軽にお問い合わせくださいませ。