解雇や退職についての労働基準法の注意点についておさらい

解雇や退職についての労働基準法の注意点についておさらい

前回、解雇の基本的知識についてお話ししました。いよいよ今回は実態面を見てまいりましょう。解雇には、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇などといった種類があります。東京都千代田区のBSP社会保険労務士法人では、各種解雇案件それぞれに対応していますが、最近はコロナ禍の景気減退により整理解雇案件の相談が増えております。不当解雇として後々多額の金銭支払いとならないように、しっかり考えていきましょう。

解雇無効とは

解雇とは、雇用契約を一方的に打ち切る行為です。本来契約は両者合意のもとでなされるものであり、合意のもとであれば、それ以降の争いが生じる余地もありません。
一方的な解約であれば、その解約行為が有効なのか、無効なのか、解決方法は様々ですが、終局的には裁判官による判断となります。
以前は、判例の蓄積が、裁判官が判断する際の根拠となりましたが、その判例法理が、2008年施行の労働契約法第16条に集約されました。
法律は、普遍性を必要とするため、抽象的な表現となりますが、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」とされました。

わかりやすく言えば、本当に解雇の必要性があり、世間一般の常識から考えても、解雇されても仕方ないだろうというものでなければ、一方的な契約破棄は認めないということです。
なかなか、裁判までもつれるケースは少ないのですが、万が一解雇無効の判決が下された場合、企業は、解雇した日からその判決が下される日まで当該労働者を雇用していたことになりますので、その月数分の月例給与をまとめて支払わなければなりません。
バックペイと呼ばれますが、これが、無配慮・無頓着な解雇権濫用に対する大きなリスクとなります。

整理解雇はさらに難しい

普通解雇の場合は、体調が悪くほとんど出社できないとか、幾度となく注意指導を行っても勤務成績が上がらないなど、従業員側に何らかの落ち度があります。
しかし、整理解雇の場合は、会社の経営状況が厳しいというのが解雇理由であって、従業員に帰責理由はありません。ですので、整理解雇は一段と難しいと言われています。
判例法理の中では、「整理解雇の4要素」が確立され、①人員削減の必要性②解雇回避措置の相当性③人選の合理性④手続の相当性が総合考慮されます。
現在のコロナ禍における人員削減は、(新型コロナウイルスに本当の原因があるのですが)、企業責任の整理解雇に当たりますのでハードルが高いことになります。

まとめ

日本の労働法は、世界一解雇に厳しいと言われております。それでも、従業員を排除しなければならない場合は訪れます。
まずはその従業員と話合いを持つことが重要です。社内での話し合いでまとまらない場合は、都道府県労働局のトラブルあっせん窓口を利用する方法もあります。
BSP社会保険労務士法人の基本的なスタンスとしても、まずは退職勧奨による合意解決を目指すようアドバイスしています。そのうえで、解雇が必至な場合は、解雇にそなえて有利な状況を整えてまいります。
企業も従業員もあとくされなく、将来に向かって進めるような調整機能が社会保険労務士に求められていると考えます。