コロナ禍で激増。解雇や退職についての労働基準法注意点

コロナ禍のもと、公式な統計以上に失業者が増えていることは想像に難くありません。東京都千代田区にありますBSP社会保険労務士法人にも、解雇や退職勧奨にまつわる相談が増えております。日本型の雇用システムにおいては、解雇に関してはかなり厳しい制約が課されています。手続き面は労働基準法、実態面では労働契約法が様々な規制を法定しています。
まずは労働基準法から確認していきましょう。

そもそも解雇できない方々

解雇してはいけない方々や、その理由が、労働基準法をはじめ、いくつかの法律で定められています。当然と思われる理由ですが列記いたします。

国籍、信条又は社会的身分を理由とした解雇

労働基準法第3条に定められていますが、人権の問題です。

労働組合の結成・加入、および労働組合活動を理由とする解雇

最近は組織率が減少の一途をたどっていますが、不当労働行為として無効となります。

業務災害により療養のために休業する期間及びその後30日間

労災は、会社の責任ですので、その間の生活保障は会社が見るべきとされます。

産前産後休業期間及びその後30日間

再就職先が見つけられないため当然でしょう。業務災害時と合わせ労働基準法第19条に定められています。

妊娠・出産を理由とする解雇

雇用機会均等法によります。上記と同じ趣旨で母体保護は重要な要素です。

育児休業の申し出、育児休業をしたことを理由とする解雇

同様の趣旨で、育児介護休業法に定められています。

解雇の手続きに関しまして

まず大前提を記載いたしました。上記のような理由で解雇を行うことはできません。
そのほか、労働基準法で労働者に当然の権利として定められている権利を行使した場合も、それをもっての解雇は許されません。

それでは、上記を除いた場合は、一般的に労働者を解雇してはいけないのでしょうか。そんなことはありません。
雇用契約も、契約の一種にすぎませんので、お互いに解約する権利があります。
ただ、企業と労働者との力関係から、経営者により強い制約がかかっております。手続き上はいわゆる「解雇予告手当」の支払い義務です。
企業側は、少くとも30日前に解雇の予告をするか、予告に替わって30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(労働基準法第20条)。ただし、詳細は今後詳しくお伝えしますが、「平均賃金」は実際の賃金よりも安い金額となります。

まとめ

今回は、「解雇」を考える際の、基本中の基本です。解雇予告手当はあくまで手続要件であり、その解雇が有効か無効かを決定する本質的な議論ではありません。
労働基準法概説で述べましたが、今回は公法上の概念となります。行政からとやかく言われないための要件が今回の記載内容であり、被解雇者に対する解雇の有効性の主張要件はもっと奥深い話になります。
東京都千代田区にありますBSP社会保険労務士法人は日々解雇案件と取り組んでおります。
10件あれば10件別々の問題を伴っています。解雇が有効か無効か、私法的な判断に関するコラムを次回お届けいたします。